財政危機・環境危機がない社会・会社づくり

⑥本当の共存共栄を実現する社会

2021年以降の日本人の価値観とは、組織を超えて地域の人々が協調していきていくということです。ただし、「チームワーク」という言葉には必ず「リーダーシップ」が必要です。一般的に、価値観を共有するには隣人との関係から始まって町内会、市、道、国、世界という順番になります。

時間の概念であれば、前の世代や次世代など自分から見て様々な個人や組織と一緒に協調していくということを意味します。特に、平成時代に辛い思いをしてきた人は、次の時代こそ様々な人たちと共有したいと考えていると思います。

これまであまりにも自分と世界が引き離され、家庭や企業、地域、そして国単位で共同体が破壊されたことで、私たちは孤独になっていきました。しかも、孤独な者同士が互いに争われてきたわけであり、その争いによって地球環境が崩壊しつつあるのが私たちの立たされている状況です。

⑦世界中のあらゆる人たちとの情報共有

ここまで破壊された私たちですが、この際に一度全て水に流し、全ての民族、国家、地球、そして過去に生きていた人とこれから自分が死んだ後も生きていく人、そしてあらゆる動物や植物など、時間と空間を超えて協調して生きていくことが求められているように思います。

私たちが求めていることは、近くに住んでいる人たちとの情報共有だけではなく、他国や他民族と多言語でコミュニケーションを取ることであり、地球上の植物や動物など、ありとあらゆる生命と共有することです。

また、持続可能な地球環境を残していくということは、これから生まれてくる人たちと共有するということも意味しています。時間と空間を越えて、私たちはあらゆる生命と共有することを求め始めていると思います。

⑦宗教感と信仰心の必要性

日本人の多くは、極端に視野が狭い中で自分のことを「無宗教」と固く信じており、宗教を無視した形でなるべく他者と関わらないように生きている傾向があります。しかし、日本以外の国では宗教は社会的に普遍的な概念として存在しています。

宗教は、組織的に維持する力があります。宗教団体に所属しなくても、政治や経済の分野でこの力は感じることができます。例えば、あなたが所属している職場などで自分が大切にしていることを冒とくされた時、冒とくした者に対して激しい怒りを感じはずです。

実は、組織的な怒りこそ間違っているわけで、このような感情の高まりから組織の中で誰が正しいのか、また誰がそこに関与しているのかがわかってきます。正しい「信仰心」を持つようになるのは、他者に対して正しく接するようになるために学ぶ必要があります。

善悪の判断は、すでに組織の中で決まっています。その組織にとって有用であれば「善」であり、有害であれば「悪」ということです。もし他の組織と横断的なやり取りをする場合、様々なことが明らかになり、善悪について反省させられることがあります。

ところが、私たちはたった一つの組織の中で一生を過ごすわけではありません。大きな組織は部署ごとに分かれており、お互いに敵対したり、協力し合っています。要するに、組織が異なれば価値観が違うところも出てくるということです。

複数の組織が提携し合うと何らかの調整が必要となり、こうして自分自身の信仰心についての反省が始まることもあります。神仏への信仰心を持つことは、社会について知るための始まりです。組織が信仰心を必要としているように、組織と信仰心はお互いがお互いを再生産させます。

法律には違反していなくても、企業活動で倫理的な問題が起こり、株価や企業全体に影響を与えることも珍しくありません。だからこそ、「人知を超えた神仏への信仰心」をできるだけ早く感じることができるようにする必要があるということです。

経済恐慌によって仕事が減る中で、日本人ひとり一人がリーダー的な資質を身につけるには「今だけ、カネだけ、自分だけ」の思考を捨て、信仰心を持つことが必要です。また、必ずしも正解を導く方程式がなくても、答えのない問題を信仰心で乗り切ることができると思います。

また、教会や寺、神社などに通う必要はなく、仕事や日常生活の中で物理的には説明できない何かを感じることが多くなったと思います。特に、経営者の多くはその資質が高いため、損得勘定ではなく、経営の意思決定を行っている人も増えています。

⑦信じることより感じること

私たちが自分の思いを伝える手法としては、決して理性的に説明しつくして相手を納得させるという手法だけではありません。相手に対し、良いか悪いかは自分で感じて判断してもらい、自分がきっかけになるというのが一般的です。

損得勘定で特定の考え方を信じ、自分や相手を納得させるというのではなく、良いか悪いかを自然に感じる自分の感性に基づいて取捨選択をしてもらうほうが、一般的な人々の行動様式になりつつあります。

実際に、商品やサービスを利用してもらう際に、人々は理性的に慎重に対処していますが、それはあくまでも必要性があるかないかの判断であって、人々は躊躇することなく自分の感性や好き嫌いの気持ちの振れ方をもとに取捨選択を行っているように見えます。

つまり、信じることよりも感じることを大切にしているわけです。20年前は何も考えずに行動していた人々は、インターネットの情報を共有して本人が自分の感性で感じられることが、最も大切になってくるということです。

⑧英会話学習や情報収集、そして仕事を楽しむこと

これからは、「楽しむこと」を前提にライフスタイルを構築していくことが大切になります。近年、人々を競争させて勝った人を選ぶという方法では、機能しないということが体験的に明確にわかりつつあります。

特に、激しい過当競争は普通の人がどんなに訓練しても決して超えることができない高い水準の業績でなければ、決して競争には勝てないという現実が生まれつつあります。そうした際に、初めからその分野に優れた才能の持ち主を選ぶ方法もあります。

当然、その人に合わせた訓練を課す時も、楽しく訓練できるように知恵を絞る必要があります。業績を残す人というのは、楽しい環境の中で適切な刺激を与えることでその人の持つ潜在能力を最大限引き出すことが求められています。

今後、上から押し付ける訓練や型にはめるだけの訓練というものは楽しさが感じられないため、人々の気持ちが萎縮して潜在能力を引き出せなくなりつつあります。今、人はどういう時に楽しいと感じるかを知る必要があります。

楽しいと感じるのは、自分の世界が広がった時や自分の新たな潜在能力が引き出せた時こそ実感できる時であり、その成功体験は人を次の成功へと導く強力な原動力となっていきます。

⑨潜在能力を引き出す教育方法

2000年頃から始まった、グローバル化による極端な競争社会で最後に勝つ方法というのは、決して限りなく厳しい訓練をするという方法ではなく、むしろ本人が楽しいと思う環境を整え、適切な刺激を与え、潜在能力を最大限開花させるという方法です。

つまり、人はそれぞれ互いに異なった分野で本来生かすべき潜在能力を持っているということです。だから、これからの教育というのは、若いうちから様々な分野で試行錯誤を経験させ、どんな分野で潜在能力が引き出せるか注視することです。

もしそこで方向性が見えたら適切な刺激を与え、「楽しい」という気持ちが壊れないように成功体験を積ませ、結果として本人が持つ潜在能力を最大限に引き出させるという方法が一般的になると思います。

それは明らかにこれまでのサラリーマン大量生産方式の教育とは異なる方法であり、令和維新後はこれまでと違ってくる部分のひとつが教育であるように思います。

INDEX

03.価値観を共有(シェア)する社会・会社づくり