つい最近までビットコインやイーサリアムをはじめとした仮想通通貨の熱狂的な投機が続き、価格が暴騰していました。2016年12月の時点では10万円にも満たなかったビットコインは、1年後の2017年12月には240万円の最高値を記録しました。
たった1年で約25倍という高騰を見せましたが、これは17世紀にオランダで発生したチューリップ・バブルの高騰をはるかに越え、史上最大の投機として注目を集めました。日本でも数万円というわずかな資金からスタートしながらも億を越える利益を確保した人々も多数現れ、仮想通貨の熱狂を各メディアがあおったというわけです。
しかし、国内大手取引所のコインチェックからの580億円相当の仮想通貨ネムの盗難や、そしてほぼ同時期にはじまったマネーロンダリングや投機の抑制を目指した各国の規制強化などがあり、仮想通貨の価格は大幅に暴落し、その後も大きく上昇する気配はありません。
このような状況の中、バーチャルなデジタル・データでしかない仮想通貨の存在そのものを危ぶむ否定的な見解も多く見られるようになっています。いずれにしても、このまま仮想通貨が終わってしまうことはないと思われます。
重要なことは仮想通貨そのものではなく、その基礎になっている「ブロックチェーン」のテクノロジーだということです。ブロックチェーンとは、これはブロック化したデータをすべてリンクし、複数ある分散台帳に書き込むテクノロジーのことです。
ブロック化したデータにはハッシュ関数の暗号が組み込まれているため、書き込まれるためにはこれを解読する必要があるわけですが、それはマイニング(電子採掘)と呼ばれています。ブロックチェーンでは、このような暗号化のテクノロジーが基礎になっているため、これまではサーバーの機能に依存していたセキュリティーを確保する必要がなくなりつつあります。
実際に、一万円札を印刷している日本銀行をはじめ、民間銀行などの中央集権型のサーバーに依存したシステムと比べ、分散台帳による管理コストは大幅にコストダウンができることや、厳重なセキュリティー確保の必要もなくなるというわけです。
さらに、仮想通貨イーサリアムのようなプログラムの自動実行機能(スマート・コントラクト)を実装したシステムでは、サーバーの機能のほとんどが自動化されるため、コストが安く済み、セキュリティーの心配がなく、そしてプログラムの自動実行機能を持つシステムがすでに世界中で利用されています。
実は仮想通貨というのは、こうしたブロックチェーン・テクノロジーの最初の適用事例にすぎなく、これからこのテクノロジーは、サーバーによって管理されているあらゆるシステムに適用されるようになるということです。
それによって、既存のインフラである電力や通信、金融、そして教育なども大きく変容する可能性が高いと考えられます。
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